科学技術振興機構(JST)
戦略的創造研究推進事業(CREST)
研究領域「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」
研究課題「植物栄養細胞をモデルとした藻類脂質生産系の戦略的構築」
Project title: Strategic construction of algal lipid production system modeled after plant vegetative cells
代表者:太田啓之教授(東京工業大学)
研究期間:平成23年度〜平成28年度 (平成23年10月開始)
Leader: Hiroyuki Ohta (Tokyo Institute of Technology)
From 2011 to 2016 (starting from October 2011)
グループ名 |
研究代表者又は |
所属機関・部署・役職名 |
研究題目 |
太田グループ |
太田 啓之 |
東京工業大学・バイオ研究基盤支援総合センター・教授 |
栄養飢餓による脂質蓄積機構解明と脂質高生産系構築 |
西田グループ |
西田 生郎 |
埼玉大学・大学院理工学研究科 ・教授 |
藻類小胞体膜脂質合成と貯蔵脂質合成の分配機構解明 |
和田グループ |
和田 元 |
東京大学・総合文化研究科・教授 |
藻類脂肪酸合成制御解明 |
黒川グループ |
黒川 顕 |
東京工業大学・大学院生命理工学研究科・教授 |
有用藻類の網羅的ゲノム解読とデータベース構築 |
大林グループ |
大林 武 |
東北大学・情報科学研究科・助教 |
藻類比較共発現データベースの構築 |
佐藤グループ |
佐藤 直樹 |
東京大学・総合文化研究科・教授 |
藻類脂質代謝ネットワークの確立と代謝情報データベースの構築 |
尾崎グループ |
尾崎 克也 |
花王株式会社・生物科学研究所・ 室長 |
有用藻類の選定と脂肪酸高生産系構築 |
佐藤グループの研究内容
Research projects in Sato group
研究題目:藻類脂質代謝ネットワークの確立と代謝情報データベースの構築
Title: Algal lipid metabolic network and metabolism-related database
1.脂質代謝フローの解析
Lipid-related publications | ASPL2009 posterr | JSPL2011 poster |
Doctor thesis | 1986 paper |
佐藤はこれまで,シアノバクテリアやクラミドモナス,クリプトモナス,ラフィド藻,紅藻,シダ,コケなど多様な真核光合成生物を使ったトレーサー実験の経験をもち,放射性同位体ばかりでなく,安定同位体である13Cを使った代謝経路解析(Sato et al. Plant Cell Physiol.
1986)を世界に先駆けて行った。この仕事により,現在でも使われている分子内の13C含量(アイソトポマー分布)を解析する手法の基本を確立した。そこで、佐藤らがこれまでおもにシアノバクテリアや藻類について行ってきたパルスチェース、GC/MS解析による代謝フロー解析を,今回の解析対象となるChlamydomonasとKlebsormidiumの2種のモデル藻類、Nannochloropsisなどの有用藻類に展開し、藻類光合成時、栄養欠乏等のTAG蓄積時における代謝フロー全体の解析を行う。
光合成により取り込まれた13Cの細胞内での流れを解明するには,質量分析の技術とともに,アイソトポマー分布の詳細な
解析が重要で,特に,異なる13C含量により
ラベルされた多くのプールの推定を求める計算手法が必要であるが,佐藤らはすでにこれを開発している。
2.代謝情報データベースの構築
Gclust databases | CyanoClust database |
Gclust software | Orthogenomics paper |
佐藤は、紅藻シアニジオシゾンのゲノム解読(Matsuzaki
et al. Nature 2004)に携わったのを機会に,バイオインフォマティクスの分野の研究を開始し、特に,比較ゲノムソフトGclustの開発を行い,植物,藻類,シアノバクテリアなどの光合成生物と非光合成生物のオルソログ(進化的に対応し,機能的にも関連すると考えられる遺伝子)のデータベースを構築し(Sato Bioinformatics 2009),植物脂質の合成と分解に関するオルソログの比較表を構築してきている(アジア植物脂質シンポジウム2009年などで公表)。そこで、すでに公開されている植物・藻類に加えて,本プロジェクトやGCOEで解析する新たな藻類のゲノム情報に基づいて,すべてのオルソログのクラスタリングを行う。これに基づいて,脂質の合成と分解,作り替え,輸送など,脂質代謝に関わる生物横断的な遺伝子データベースを構築する。さらに,発現データベースとの組み合わせにより,異なる生物間での発現情報の活用を可能にする手法を
開発する。