MacOS Xに関する最新情報

Last update: Jan. 15, 2003.



注意事項:ここに記載した情報は,あくまでも筆者が個人的に集めた情報であり,筆者の手持ちのマシンでは動作することを可能な限りはテストした上で書いていますが,全ての場合に当てはまることを保証するものではありません。また,この情報をもとに作業をした結果,マシンにハード的またはソフト的な障害を与えることがあった場合,作業者のミスの有無に関わらず,筆者は一切の責任をとりかねます。全て,それぞれの個人の責任において作業を行ってください。

0.Apple 版 X11 for Mac OS X (Jan. 2003)

ついにでるべきものがでたという感じです。従来,Mac OS X用のX windowシステムは,下記のようにXFree86から出されていましたが,バージョンによって,うまく機能しなかったり,今まで使えたソフトが動かなくなるといった問題がありました。今回,10.2.3の上で使えるというアップル製のというべきかアップルが承認したものというべきかわかりませんが,X11R6.6のシステムが,下記のアップルのサイトからダウンロードできるようになりました。

 早速試してみました。まず,インストールにより,/etc/X11と/usr/X11R6の中に上書きされます,しかし,これまでのXが入っていても,特に問題ないようです。私は,それぞれバックアップをとって(といいたいところですが,/etc/X11のバックアップは忘れました),アップル版Xをインストールしました。/Applications/XDarwin.appとは別に,/Applications/X11がインストールされます。このアイコンをダブルクリックすると,確かにX のウィンドウができます。この場合,ホームディレクトリに .xsession または .xinitrc (どちらもファイル名の最初にドットがつく設定ファイルです)が存在すると,それが使われますが,mwmとは競合するため,アップル製のtwmが使われ,そのため,従来のXで,LessTifを使っていた場合には,適合しません。たぶん画面はでると思いますが,私の場合も,でてきたウィンドウが画面からはみ出して,どうにもならない状態でした。これは,上記の設定ファイルの名前を変えることで解決します。また,設定内容を適当に書き換えてもよいでしょう。さて,でてきたウィンドウはマック風で,そのままだとスクロールバーもありません。これは,上のメニューから設定を選び,xterm のオプションに適当な内容を書き込めば解決します。たとえば,
 -sb -sl 1000
とすれば,横にスクロールバーがつき,1000行をバッファーに取り込むことができます。詳しくはXウィンドウの解説書を参照してください。
また,これまでmotifとリンクして作ってあったclustalx, njplotもこのウィンドウから起動できました。その場合,ウィンドウのようすがマック風になり,従来クラシック用に作られていたこれらのソフトと類似のウィンドウになりました

リンク: X11 for Mac OS X  


便利な点は,上のメニューバーから新たなウィンドウを開くことができること,また,設定メニューに起動したいソフトとそのオプションを登録しておくことができることなど,X ウィンドウをマック風に操ることができることでしょう。

でも私はあまり気に入っていません。というのも,LessTifを使ったMotifウィンドウマネージャーの方が,いわゆるUNIX風で,ウィンドウがきれいですし,ウィンドウの細かい設定がボタンクリックでできること,Pagerといってデフォルトで9画面分の 仮想画面が使えることなど,通常のUNIXのX windowの使い方が可能になるためです。アップル製のウィンドウマネージャーは,従来のマックとの統一性はありますが,もう少しXらしいものにもできるよう,カスタマイズがさらに可能になってほしいものです。いずれOpenMotifも使えるようになるかもしれませんし,GNOMEなどのウィンドウマネージャー(デスクトップマネージャー?)も使用可能になるとよいと思います。そうなると全然マックではなくなってしまいますが。

1.BLAST関連 (Jan. 2003)

1.1.    AGBLAST

G4を使ってMacOS X上でBLASTサーチを行う際,G4の特徴であるVelocity Engineの機能を活かすよう,改変されたバージョンのテスト版が作られています。G4を使った場合,128 bitのVelocity Engineを使って演算を行うため,計算速度が著しく向上しています。しかし,通常のBLASTでは,ディスクの読み書きがかなりの時間をとるため,トータルの実行時間では,あまり大きな変化はないかもしれません。また,計算負荷のあまり大きくないblastpなどでは,あまり大きな御利益はないかもしれません。

リンク:Apple's announcement

1.2.    NCBI tools

現在の最新版は20021213とついたもののようですが,このバージョンでは,Darwin OS対応のファイルで,X windowではなく,Aquaインターフェイス用のアプリケーションができるようになっています。これを使うためには,Developper toolにあるソフトウェアを作るソフトを利用してやっていく必要があり,私自身はこれについては,わかりません。従来のX window用の記述もコメントアウトされているだけなので,書き換えることで,使えそうだと思います。これをみたときには,いずれすべてのMac OS XのインターフェイスはAquaに統一されていくのかと思ったのですが,上述のように,アップルからX11がでるという状況で,おそらく,2種類のグラフィカルインターフェイスが共存していくのではないかと思います。また,これに伴って,Mac OS X用のMotif (openmotif?)や,いずれNCBI toolsに関しても,X11対応のものが改めてでるようにも期待されます。ただ,当面すぐには,いろいろなものが変わっていかないので,ClustalXのコンパイルなどでトラブル可能性もありますが,徐々に対応が進んでいくものと思います。 なお,現在のNCBI toolsでは,Velocity Engine (Altivec) の利用は含まれていません。ただ単に,-faltivec という一言をコンパイラオプションに入れればよいのかどうか,AGBLASTではもう少し別の最適化もやっているように書かれていますので,直ちに判断できません。

2.Darwin OSの情報

MacOS Xバージョン10.1.3のリリースにともない,基本OSであるDarwin OSのバージョンも1.4.1となりました。Darwin OSでは,通常のUNIXと異なる点が数多くあります。たとえば,ユーザー名を定義したpasswdファイルが/etcにあるのがふつうであり,確かに,MacOS Xでもそのファイルは存在しますが,実際にシステムが参照するのは,NetInfo Managerで管理されたデータベースで,これは手では編集できません。niutil というコマンドがあります。新規ユーザの登録などを手作業でやる場合には,このコマンドを使います。ネットワークの設定についても,/etc/hostsファイルを編集してもだめで,これもNetInfo Managerまたはniutilコマンドで設定します。NetInfo Managerは一応グラフィカルインターフェイスではありますが,かなりわかりにくく,適当な参考書をみてください。niutilに至っては,全くのコマンドラインからの操作になり,きわめて難しくなります。Darwin OSの様々なHowTo'sについては,下記のリンクをご覧ください。ちなみに右のイラストは,Darwin OSのマスコットHexleyです。
 

リンク: http://www.darwinfo.org/  特にその下の howto/

3.Open Source Projects

Darwin OSが使えるのは,なにもAppleのコンピュータばかりではありません。いわゆるウィンドウズパソコン(DOS/V機,IBM PC互換機)でも動かすことができます。もちろんMacOS Xの画面はでませんが,基本的なUNIXベースのOSは使えます。また,X windowも使えます。ただしまだ,日本語は表示も入力もできません。Linuxの代わりに使える可能性があります。最近のLinuxディストリビューションは,いらない機能が多すぎて,しかもGUIも非常に重くなっているので,少し古いPCでサーバーを作ろうという場合には,不適当です。この場合,Darwin OSが一つの可能性だと思います。ただし,まだ,対応するハードウェアが少なく,ネットワークがつながればめでたし,というところだと思いますので,研究室のウェブサーバーやファイルサーバーとして,適しています。なお,ウェブサーバーは,律速段階がネットワークの転送速度であり,これは,CPUの速度に比べ,2桁程度遅いので,10年前のパソコンのCPUでも問題ありません。もちろん負荷にもよりますが。私のところでは,昔のQuadra800 (33 MHz)でNetBSDを使ったウェブサーバーを作って利用しています。つまりみなさんが今みているこのページのことです。古いパソコンは捨てないで,ウェブサーバーとして活用しましょう。さて,本題に戻って,Darwin OSや,そのintel搭載機への導入については,アップルのOpen Source Projectsのページをみてください

リンク: http://www.opensource.apple.com/  およびそこからのリンク

4.X window (Jan, 2003)

X windowシステムもどんどん更新されています。最近,XFree86のバージョン4.2.0がリリースされました。これは基本的には,UNIX用のX windowですが,MacOS X用の改良がどんどん追加されていて,今では,MacOS Xの上でダウンロードしたインストーラをダブルクリックすればインストールができるというふつうのMacOS X用のアプリケーションの一つとして配布されています。リンク先は上記のアップルのOpen Source Projectsのページをみてください。または,
  http://sourceforge.net/projects/xonx/  

です。なお,注意事項として,すでに前のバージョンのX windowシステムがインストールされている場合には,あらかじめ,rootになって,/etc/X11と/usr/X11R6の2つのディレクトリをバックアップしておいてください。たとえば,
    cp -a /etc/X11 /etc/X11.bak
    cp -a /usr/X11R6 /usr/X11R6.bak
ここで,-aオプションはディレクトリ全体にあるファイルを全てもとのパーミションを保持したままコピーするものです。インストールののち,特に問題がなければ,このバックアップディレクトリは消去してかまいません。なお,今回のバージョン4.2.0はMacOS X 10.1に対応するもので,最初にリリースされたMacOS X 10.0とは互換性がありません。まず,MacOS Xを10.1.3にバージョンアップしてからインストールしてください。

現在の最新版は,4.2.0.2で,これを入れるとこれまでにおきたトラブルがだいたい解決しました。

さらに,上記のようにAppleからもX11がでましたので,それも使えると思います。

5.以前に載せた緊急のお知らせ(既に古くなりました, Aug. 2002)

このところ特に問題なく使えていたのですが、MacOS X version 10.1.3へのアップグレードを最近行ったところ、一台のマシン(G4, 800MHz)で、スリープしたまま起きなくなる問題が発生し、さらに、システムへのGUIからのログインができなくなるという問題が生じています。これが一般的な問題であるのか、まだわかりませんが、アップグレードは慎重に行う必要がありそうです。はじめから新たにインストールする場合よりも、不具合の可能性があるのかもしれません。もうひとつ、XDarwinも4.2.0がでました。インストールもきわめて簡単になり、これはよいと思っていたところ、これまで動いていたclustalx, njplotなど、Xwindowを使うソフトが立ち上がらなくなりました。これは、Xのライブラリの不適合のためと思われます。用心のため、/usr/X11R6, /etc/X11をバックアップしていたので、これらを戻すと、元の通りにclustalx, njplotとも動くようになりました。この場合、/Applications/XDarwin.appは新しいもののままなのですが、大丈夫のようです。最近、LessTif 0.93.18をコンパイルしてみると、デフォルトのインストール先が、前とはずいぶんと変わっていて、/usr/local/bin, /usr/local/lib, /usr/local/includeなどにファイルがおかれています。このあたり、以前のバージョンと新しいバージョンが別々の場所に共存している事態が考えられるのですが、まだ、詳しく検討するに至っていません。なにかご存じの方がおられたら、教えていただければ幸いです。

5.Mac OS X 10.2 (Jaguar) の利用 (Oct. 2002)

A現在,Mac OS Xは,10.2にバージョンアップされ,果たして今までと同じようにUnixとして使えるのかという不安がありましたが,今のところ大丈夫らしいということがわかりました。私の自宅のG4の内蔵2番目のHDに10.2をインストールし,さらに,XFree86 4.2.0とその一部修正コマンドである4.2.0.1の10.2版をインストールすると,X window system は問題なく起動できました。さらに,LessTif 0.96.36をコンパイルし,インストールすると,Motifも機能しました。X windowのデフォルトであるtwmをmwmに変えて利用できます。この場合,いくつか問題があります。これまで,ホームディレクトリに .xinitrc (はじめがドットではじまっています)という設定ファイルをおいておけば,その通りの設定で,X windowが開いたのですが(これはLinux などでも同様です),今回は,それが機能しません。システムのデフォルトの設定が使われます。それは,/etc/X11/xinit ディレクトリ(実はこれはリンクですが)にあるxinitrc (ドットはつきません)で,これをルートとして書き換えればよいでしょう。同じことですが,その一部を書き換えて,ユーザのホームディレクトリにある .xinitrc ファイルを読み込むようにすることもできます。いずれにしても最初のモードは書き込み不可ですので,モードをかえてから書き換えるか,vi だったら:w! で無理矢理書き込みます。
 さらに,このようにLessTifをインストール(今は/usr/local/LessTif, /user/local/bin, /usr/local/lib などにファイルがインストールされます。/usr/X11R6には入りませんので,あとでncbi toolbox, clustalxなどをコンパイルする場合には,注意が必要です)すれば,既存のclustalxなどもちゃんと機能することがわかりました。変なエラーがでますが,使えます。今は,clustalxのMacOS X版のバイナリもダウンロードできますし,blastallなどブラストサーチ関連のコマンドもバイナリがダウンロードできます。従って,コンパイルしてプログラムを使うのになれていない方は,それらのバイナリを使うことをおすすめします。
 10.2は,Terminalの機能が向上し,多少ですが,日本語も扱えるようです。また,メールソフトも機能が向上しており,だいぶ便利になりました。これに加え,オフィスとPhotoshop, Illustratorが使えれば,たいていの仕事は,MacOS Xでできるようです。また,classic環境もだいぶよくなり,従来のマックで使っていたDNASIS, GENETYXなど(古いバージョンしかありませんが)もそのままclassicで使えます。ABIのシーケンサ関係のソフトも大丈夫です。今やMacOS 9は使わなくてもよくなってきました。