めぐりめぐむ生命(その2)
光合成と呼吸の共役
(酸素発生型)光合成は植物の葉緑体などで行われ,光により水から酸素を
生成するとともに,NADPHとATPを作りだし,それによって二酸化炭素から炭水化物(糖)を作る作用である。植物の他にシアノバクテリアという原核生
物も同じ働きをもっている。これに対し,(好気)呼吸はミトコンドリアで行われ,NADHを酸素によって酸化する際のエネルギーをATPとして蓄えるもの
である。それぞれ括弧書きで書いてあるように,別のタイプの光合成や呼吸もあるが,ここでは触れない。下の図を見ればわかるとおり,すべての過程で物質は
循環している。最終的な収支は,光の流入と熱の放出および運動によってなされる仕事である。
このことは生命の本質をよく表している。生命は究極的には,宇宙のエネルギーの散逸形態の一つに過ぎないのだが,その散逸の過程で生ずる過渡的な現象と
いうことになる。鴨長明が方丈記の最初で述べているように,「行く川のながれは絶えずして,しかも本の水にあらず.よどみに浮ぶうたかたは,かつ消えかつ
結びて久しくとどまることなし」というのが,まさに生命にあてはまると考えられる。
なお,この図では,これまでの教科書にはない独自の表し方をしている。それは,光合成の電子伝達を,太陽電池によるNADP/O2電池の充電と見なし,呼
吸をNAD/O2電池の放電と見なすということである。このように考えると,複雑な電子伝達系が非常に簡単に理解できる。
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Last update: Mar. 26, 2009
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